錦糸線の代わりに

f:id:bcoil-temaki:20200505065707j:image音質にマイナスにしかならないということで、錦糸線を排しています。

しかし、良い代用案はない。ボイスコイルのエナメル線をそのまま引っ張ってきても、振動でブルブル震える、あげく切断ということになる。

 

今回は蝶ダンパーに接着してみた。ゴム系接着剤を塗りエナメル線を接着。さらにゴム系接着剤を上から盛り上げる。

写真でご覧の通り、見た目はひどい仕上がりです。

まあ、音が良ければいいんです。

 

 

蝶ダンパー接着まで

f:id:bcoil-temaki:20200505063802j:image鹿革によるエッジ貼り。型紙から切り出した鹿皮四枚。重なり代を考えて長めにしておきます。

 


f:id:bcoil-temaki:20200505063738j:imageボンド付けの目安に線を引く。

 


f:id:bcoil-temaki:20200505063646j:image透明のゴム系接着剤で貼る。コーン紙側に塗布しすかさず貼る。位置決めを慎重に。決まったら指で挟んでしっかり押さえる。

まずは対角に二枚。

それから残りの2枚

(ボンドの乾きは早いので一枚ずつ貼ります)

 


f:id:bcoil-temaki:20200505063652j:imageまあまあ上手くいく。革なので完璧にはいかない。まあまあで大丈夫。

 


f:id:bcoil-temaki:20200505063723j:imageアイロンを当てる。温度は低く。

湿ったままの鹿革にアイロンを当てて失敗したことがある。急激に縮み硬くなってしまいもう戻らない。

 


f:id:bcoil-temaki:20200505063751j:image若干パリッとした。

 


f:id:bcoil-temaki:20200505063744j:image乗せてみて、はみ出す箇所をハサミで切る。鹿革のように柔らかな材料を思い通りにカットするのは難しい。

 


f:id:bcoil-temaki:20200505063730j:image磁石の隙間のゴミ(ホコリと鉄板)をクラフトテープで取り除く。しつこくやる。

 


f:id:bcoil-temaki:20200505063756j:imageコーン紙をセットして、ギャップに合う厚さの紙を挿入。今回はこの状態からエポキシ接着剤をダンパーに塗布した。ちょっと持ち上げて塗布、それから圧着。圧着と言ってもクランプなどは使わなかった。水平に置くだけ。

エポキシだから流れて、センターを上手く保ってくれるだろうと予想したが、そうでもない。

エポキシが乾き始める前に、紙を上下してギャップが均等かを確認。ダンパー位置を微調整する。冷や汗。

蝶ダンパー

f:id:bcoil-temaki:20200505062818j:imageCDから作ったダンパー。『蝶』ではないですね。初めはこれでもいけるのでは、と考えていた。

 


f:id:bcoil-temaki:20200505062833j:imageフレームに置いてみる。足が長く中央に置けないが、そこは無視。

 


f:id:bcoil-temaki:20200505062824j:image指で感触を確かめる。硬さ、ストローク量ともいけそうな感じ。

しかし、これはダンパーの足先が固定されてないからで、固定すると全くと言っていいほどストロークが取れない。

 

f:id:bcoil-temaki:20200505063233j:imageじゃあ仕方ない。蝶ダンパーに挑戦するか、となったわけです。

DDDS5 蝶ダンパー


f:id:bcoil-temaki:20200504064831j:image蝶ダンパーについて。現在多くのスピーカーに用いられるのは、コルゲーションダンパー。(赤矢印は無視)

同心円に波打った薄茶色のがそれ。布に何かが塗布されている(と思われる)。安い、簡単、安定と三拍子揃った工業製品の優等生。


f:id:bcoil-temaki:20200504064825j:imageそれをなぜわざわざ蝶ダンパーにするのかと言えば、バネ性の問題。1の力で1曲がり2の力で2曲がるのが望ましい。コルゲーションは所詮布だから。

バネ性が優れているのは金属だが、ボイスコイル近くで金属は避けたいのでプラを選ぶ。今回はプラの中でもポリカの割れにくさを採用。しかし、塩ビ、アクリルに比べるとビニールっぽく、バネ性は劣る感じ。


f:id:bcoil-temaki:20200504065249j:image制作の様子。ポリカをシナベニアに両面テープで固定。シナベニアの裏に穴開けし、その穴をピポットに回転させ加工している。使用しているのは角のみを改造したフライス盤もどき。6ミリのストレートビットによる。スパイラルのアップカットだとポリカはバリバリと割れる。

赤の印は罫書き


f:id:bcoil-temaki:20200504064819j:imageこのようになる。

1ミリ厚のポリカで  "腕  "の太さも間隔も適当だが、指で上下してみるとコルゲーションの硬さに近い感じがする。まあいけるだろう。

DDDS5 蝶ダンパー接着

f:id:bcoil-temaki:20200504060340j:imageボイスコイル。DDDS5なので上下二段になってます。
f:id:bcoil-temaki:20200504060318j:image上の段をほどく
f:id:bcoil-temaki:20200504060329j:imageカッターで切る

f:id:bcoil-temaki:20200504060324j:imageこの円柱の木材はボイスコイル内径とピタリサイズで接着の際に使う。

f:id:bcoil-temaki:20200504060941j:image円柱は垂直に立っているので、ボイスコイルを正しい位置に接着出来る。(これは別のスピーカーでの失敗例。傾いてますね。円柱治具を使ってなかったのです)

f:id:bcoil-temaki:20200504060335j:imageエポキシで接着。ボイスコイルからコーン紙までは6ミリとした。

f:id:bcoil-temaki:20200504060829j:image続いて蝶ダンパーの接着。厚みを揃えた木の棒で支えながら位置決めしてエポキシで接着。

この状態にしてからエポキシを塗り込み、ダンパーを上下、回転させることでエポキシを行き渡らせる。一定量接着剤を塗布するのは難しい。

DDDS5 磁石固定

f:id:bcoil-temaki:20200504062315j:imageエアーを吹き付けると中央磁石が浮いてくる。固定されてないのだ。

f:id:bcoil-temaki:20200504062255j:image本来はこのようなアルミパーツで押さえている。
f:id:bcoil-temaki:20200504062310j:imageネジはステン。せっかく必要以外の箇所には金属を排しているDDDS7  なのに、もったいないので取り除いた。

f:id:bcoil-temaki:20200504062305j:image念のためズレ防止に竹串で位置固定して、エポキシを流し込む。というより盛り上げる。

加工精度は高いので、竹串は保険。ほぼ必要ない。

DDDS5 のフレーム


f:id:bcoil-temaki:20200504063030j:image高さがこれだけ違う。左が正規品。右が私が手を加えたもの。これはもう20年前の改造だか、高さを詰めている。道具もノウハウもろくになかった頃なのに、傾いてはいなかった。

 

f:id:bcoil-temaki:20200504063644j:image詰めたのはこの部分。

 

狙いはショートネック化だ。ボイスコイルからコーン紙へと繋がるネック部分は短い方が良いのは間違いない。長ければそれだけ音はロスする。ただ、大音量時のストロークとの兼ね合いになる。

正規品の状態だと12ミリを超えているようだ。(測ってない)