錦糸線の代わりに
音質にマイナスにしかならないということで、錦糸線を排しています。
しかし、良い代用案はない。ボイスコイルのエナメル線をそのまま引っ張ってきても、振動でブルブル震える、あげく切断ということになる。
今回は蝶ダンパーに接着してみた。ゴム系接着剤を塗りエナメル線を接着。さらにゴム系接着剤を上から盛り上げる。
写真でご覧の通り、見た目はひどい仕上がりです。
まあ、音が良ければいいんです。
蝶ダンパー接着まで
鹿革によるエッジ貼り。型紙から切り出した鹿皮四枚。重なり代を考えて長めにしておきます。
ボンド付けの目安に線を引く。
透明のゴム系接着剤で貼る。コーン紙側に塗布しすかさず貼る。位置決めを慎重に。決まったら指で挟んでしっかり押さえる。
まずは対角に二枚。
それから残りの2枚
(ボンドの乾きは早いので一枚ずつ貼ります)
まあまあ上手くいく。革なので完璧にはいかない。まあまあで大丈夫。
アイロンを当てる。温度は低く。
湿ったままの鹿革にアイロンを当てて失敗したことがある。急激に縮み硬くなってしまいもう戻らない。
若干パリッとした。
乗せてみて、はみ出す箇所をハサミで切る。鹿革のように柔らかな材料を思い通りにカットするのは難しい。
磁石の隙間のゴミ(ホコリと鉄板)をクラフトテープで取り除く。しつこくやる。
コーン紙をセットして、ギャップに合う厚さの紙を挿入。今回はこの状態からエポキシ接着剤をダンパーに塗布した。ちょっと持ち上げて塗布、それから圧着。圧着と言ってもクランプなどは使わなかった。水平に置くだけ。
エポキシだから流れて、センターを上手く保ってくれるだろうと予想したが、そうでもない。
エポキシが乾き始める前に、紙を上下してギャップが均等かを確認。ダンパー位置を微調整する。冷や汗。
DDDS5 蝶ダンパー
蝶ダンパーについて。現在多くのスピーカーに用いられるのは、コルゲーションダンパー。(赤矢印は無視)
同心円に波打った薄茶色のがそれ。布に何かが塗布されている(と思われる)。安い、簡単、安定と三拍子揃った工業製品の優等生。
それをなぜわざわざ蝶ダンパーにするのかと言えば、バネ性の問題。1の力で1曲がり2の力で2曲がるのが望ましい。コルゲーションは所詮布だから。
バネ性が優れているのは金属だが、ボイスコイル近くで金属は避けたいのでプラを選ぶ。今回はプラの中でもポリカの割れにくさを採用。しかし、塩ビ、アクリルに比べるとビニールっぽく、バネ性は劣る感じ。
制作の様子。ポリカをシナベニアに両面テープで固定。シナベニアの裏に穴開けし、その穴をピポットに回転させ加工している。使用しているのは角のみを改造したフライス盤もどき。6ミリのストレートビットによる。スパイラルのアップカットだとポリカはバリバリと割れる。
赤の印は罫書き
このようになる。
1ミリ厚のポリカで "腕 "の太さも間隔も適当だが、指で上下してみるとコルゲーションの硬さに近い感じがする。まあいけるだろう。
DDDS5 磁石固定
エアーを吹き付けると中央磁石が浮いてくる。固定されてないのだ。
本来はこのようなアルミパーツで押さえている。
ネジはステン。せっかく必要以外の箇所には金属を排しているDDDS7 なのに、もったいないので取り除いた。
念のためズレ防止に竹串で位置固定して、エポキシを流し込む。というより盛り上げる。
加工精度は高いので、竹串は保険。ほぼ必要ない。
DDDS5 のフレーム
高さがこれだけ違う。左が正規品。右が私が手を加えたもの。これはもう20年前の改造だか、高さを詰めている。道具もノウハウもろくになかった頃なのに、傾いてはいなかった。
詰めたのはこの部分。
狙いはショートネック化だ。ボイスコイルからコーン紙へと繋がるネック部分は短い方が良いのは間違いない。長ければそれだけ音はロスする。ただ、大音量時のストロークとの兼ね合いになる。
正規品の状態だと12ミリを超えているようだ。(測ってない)